オレ流。


by Mazzan_tini

カテゴリ:書評( 11 )

 上中下全3巻だが、長さはさほど気にならない。司馬遼太郎なんで、すんなり読める。で、やっぱり司馬なんで、それなりに読ませる。面白い。
 武家全盛の時代と言っても、彼らもやはり人の上に立つ身。武骨一辺というよりは、皆それぞれに政治家であったということがよくわかる。豊臣方(石田方)に付くか、徳川方に付くかという各大名たちの心の揺れは想像してみるになかなか興味深い。
 結局のところ、豊臣譜代の大名たちが内部分裂して、ひたすら好機を待っていた家康に軍配が挙がったということなのだろうけれど、時勢を読んだつもりで家康に付いた大名ってのが、逆に徳川政権樹立後には家康から疎まれたというのは何とも皮肉な話。武を捨てて政治に走った者の末路と言えばそれまでだが、裏切り者をしっかり利用しておいて、用が済んだらハイさよならという筋を事も無げにやっちゃう家康って男は実に腹黒い男であることよなあ、うん。
 ただ、司馬遼太郎という人は、個人の嗜好として戦国よりも幕末維新の頃のほうが好きなんじゃないかなと。戦国といえば『国盗り物語』や『巧妙が辻』などでも感じたことだが、これも話の軸にいるはずの石田三成に対する司馬自身の感情移入がほとんど感じられない。『燃えよ剣』なんて、土方への熱い思いがバシバシ伝わってくる作品もあるだけに、三成への醒めた目線が妙に気になったというか寂しかったというか。
 面白さの反面、そうした点での物足りなさも残ったということで評価としては星ふたつ(満点は4つ)ってとこで。
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by Mazzan_tini | 2004-08-11 00:42 | 書評