オレ流。


by Mazzan_tini

山本文緒 『プラナリア』 (文春文庫) ★

 00年下半期の直木賞受賞作。
 ええまあ山本文緒なんて私が進んで読む筈もなくて、これまで食指を動かすことすらなかったのだが、さる友人(ここでは某K氏ということにしておこうか)から「たまたま読み終わったから」ということで頂いた品である。そうでもなければ読むことはなかっただろう。もっともK氏にしてみたところで、何の気もなく、たまたま最近に出た小説を、通勤列車の暇潰しにでも読んでいただけのことと推察する。それは本当に「たまたま」で、おそらく私にこの本を薦めたわけではないのだろう。
 でまあ、結論から言えば私には合いませんね、これは。短編集ともなれば大方一本や二本はそれなりに読める小説もあるものだが、律儀にこれまた列車の中でちろちろと読み尽くした結果、ものの見事に全てが駄目だった。合わない。絶望的に合わない。
 というかね、言ってしまおうか。この作家は下手なんだろうね、きっと。文章に匂いがない。ただ書き連ねているだけで、文章から情景が少しも匂い立ってこないのだ。最初の四編を読んだときは、女性視点という小説ゆえに私がリアリティを感じられないだけだと思っていたが、男性一人称の形式をとった最後の一編『あいあるあした』で判ってしまった。居酒屋を舞台に小説を書いて、酒の匂いも肴の匂いも全く読者に感じさせないってのは珍しい。赤提灯を描くなら描くで、そこに漂う香りを文章に沁み込ませるのが小説家というものではないんですかね。
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by Mazzan_tini | 2005-09-17 02:27 | 書評