オレ流。


by Mazzan_tini

阿佐田哲也「麻雀放浪記」(角川文庫) ★★★★

 約半年ぶりの書評更新。
 このページの読者層から考えてギャンブル好きが多いと思われるので、リスタート記念企画として、ギャンブル小説特集を組んでみようと思う。

 第一弾となるのは、麻雀小説の金字塔『麻雀放浪記』。私も実は映画でしか観たことがなかったが、この度読んでみてその余りの面白さに熱中してしまった。
 戦後間もない混乱期という舞台設定が独特の世界観を醸し出しており、ドサ健をはじめとする濃厚で魅力的なキャラクター造形とよくマッチしている。そしてこの圧倒的な世界観でラストまで読者を引きずりこんでしまうのだ。
 正直に言って、物語の要であるはずの麻雀の場面は単にイカサマの応酬であり、駆け引きが格別に秀逸であるのでもない。ただ、やはり麻雀漫画の白眉である『哭きの竜』同様に、実際のところ麻雀そのものの持つゲーム性というのは、実はそれほど重要ではないのかもしれない。そちらを楽しみたい人は、小説や漫画に頼らずに素直に卓を囲めばよいだけのことだ。麻雀小説では、その小説的世界を楽しむのが本筋で、『麻雀放浪記』はその小説的世界が非常に魅力溢れるものになっているのだ。
 といっても抜群に面白いのは第一巻の「青春編」だけで、その後は主人公である坊や哲も嘆いているように、戦後の混乱期から抜け出した舞台ではドサ健や哲のハングリーな戦いが空回りして外の景色とマッチしなくなってしまっている。

 ヒットした小説の映画化としては珍しく、真田広之主演の映画も相当面白い出来になっているので、活字が苦手という人にはそちらのほうもお薦めしておきたい。
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by Mazzan_tini | 2005-03-14 16:16 | 書評