オレ流。


by Mazzan_tini

星新一 『ブランコのむこうで』 (新潮文庫) ★★

 下北沢にある某書店の店長さんに薦められて購入。

 星新一なんてガキの頃にいくつか読んだきりで、存在そのものをすっかり忘れてしまっていたわけだが、現在の私の趣味からはなかなか自ずとは手が伸びない作品だろう。誰かのお勧めを聞いてみるというのは、本に限らず新たな出会いやふとした再会があって良いものかもしれない。

 読み始めてしばらくは、当たり前のことだが小学生にも理解できる平易すぎる文章がしっくりこず、「ああ、やっぱり星新一なんてもう無理な歳なのか」などと、己の老化を嘆いたものだが、それにも馴れれば、ショート・ショートの天才が珍しく残したこの長編の深さに気付かされる。
 夢の世界を描いた(間違っても夢野まりあの世界ではない)とは言え、ほんわか楽しいばかりの小説ではない。人生の哀しさがしんみりと伝わってくる。「ぼく」が冒険の最後に出会った老人の話なんて好きだなぁ。人生ってなんだろうとね、思いますよ、実際。いや、薦めてくれた店長さん。ありがとうございます。
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by Mazzan_tini | 2004-09-08 00:18 | 書評